脂肪肝は人間ドッグなどでよく診断される疾患ですが、我が国では、飽食、運動不足による肥満人口の増加を受けて、成人の10~40%がかかる国民病となっています。痛みも無いし、癌と言われたわけではないので、ついついそのままになってしまいがちですが、では放っておいたらどうなるのでしょうか?
脂肪肝は、その原因からアルコール性と非アルコール性に分類されます。アルコール性は当然、肝硬変に進行しますし、肝癌にもなります。非アルコール性の中には少量の飲酒者も含みますが、単純性脂肪肝(病的意義は少ない)とNASH・通称ナッシュ(肝硬変・肝癌へと進行するタイプ)に分類されます。
最近、問題となっているのはこのNASHで、日本語では非アルコール性脂肪肝炎と言いますが、急増しています。脂肪肝は、エコーやCT,MRIなどの画像検査で診断しますが、NASHは血液検査や先程の画像検査では診断できず、肝生検(肝臓に直接針を刺して、組織を採る検査)が必要なので診断は難しいですが、非アルコール性脂肪肝と診断された方の中で10~20%がNASHへと進行するようです。特に肝機能が悪い人や、高齢者・高度肥満者・糖尿病を伴う方は要注意です。放っておいてはいけません。
治療としては、まず食事療法や運動療法によって脂肪肝を改善すること、そして合併することの多い糖尿病や脂質異常症、肝機能障害の薬物治療も同時に行うことです。
院長 池田 肇
2013-11-29 21:50:00
コラム