胃もたれや胃痛などの訴えで病院に行くと、よく「慢性胃炎が原因」って言われますが、一体、何を指すのでしょうか?
実は消化器専門医の間では、最近、慢性胃炎を大きく2つに分類しています。ひとつはピロリ感染胃炎、他方は機能性ディスペプシア(以後FDと略)という病気です。
2014年4月に日本消化器病学会が「機能性ディスペプシアFDの診療ガイドライン」を発行しました。FDとは、胃カメラをしても癌や潰瘍、ピロリ感染胃炎がないにもかかわらず、胃もたれや胃痛が見られる場合の新しい病名です。簡単に言うと胃カメラで異常ないと言われたけど、食後の胃もたれや胃痛、早期満腹感、上腹部膨満感などがある場合を指します。
慢性胃炎そのものの定義は、「慢性的な胃粘膜の組織学的な炎症」とされ、その原因の9割がピロリ菌感染と考えられています。
では、治療はどうすればいいのでしょうか。
ピロリ感染胃炎の方は、まず除菌治療から始めるのが一般的ですが、除菌に成功しても症状が消失する率は約20%と言われていて、当院でも約1/3位と考えています。除菌後も症状が消失しない方は、FDと同様の治療薬を考えます。つまり、痛みのある方には胃酸分泌抑制薬を、その他の胃もたれや早期満腹感、上腹部膨満感には消化管運動調節剤や消化剤を処方します。当院では漢方薬を併用することが多いですが、最近、適応病名がFDだけの薬が発売されていますので、上記の薬で効果がない場合、試されてはどうでしょうか。
2014-07-14 20:07:56
コラム
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