風疹が全国的な流行をみせています。予防接種の普及で多くの国では「もうなくなった感染症」なのに、ワクチン後進国の日本ではいまだに流行がみられているのが現実です。私の外来でも最近、大人の風疹を数人(全員男性)診断しました。
風疹は、発熱、皮疹、リンパ節腫脹、関節痛が見られますが、麻疹と比べると比較的軽症のことが多い。しかしながら風疹を甘く見てはいけません。妊婦が感染すると、胎児に影響を及ぼす可能性があるからです。先天性風疹症候群といって、白内障、緑内障、脳髄膜炎、難聴、先天性心疾患などを起こす。妊婦が妊娠11週までに感染すると先天奇形を起こす可能性は90%と言われています。妊娠初期がもっとも危険なのです。
風疹はワクチンで予防可能です。ただ、生ワクチンであることから、妊婦にワクチンを打つことはできません。つまり、妊娠する前にワクチンを打つ、そしてワクチン接種後28日間は妊娠を回避することが大切です。
風疹ワクチンは、現在では1歳時と小学校入学前の2回接種が決められていますが、ワクチン後進国の日本では、一時期女性だけが対象になったりした時期もあり、現在、男性を中心に流行しています。
風疹の全国的な流行を受けて、各自治体でワクチン接種への助成が広がりをみせています。大阪府内でも一部助成ですが、少しづつ広がっています。ただ、早く全国一律の助成にしないと、すぐにワクチンを打ちたい方でも、もう少し待ったら助成金が出ると思ってしまいがちで、H25年5月16日現在、当院のある岸和田市は助成金なし、お隣の泉大津市や貝塚市は助成金ありとなると・・・。本当に困りますね!
院長 池田 肇
2013-05-17 21:54:00
コラム